2017/03/14

オリーブオイル

スーパーの棚にたくさん並んでいるエキストラバージンと銘打たれたオリーブオイルの大部分はインチキだそうだ。確かにそんなものばかり世界的に大量に売られるのはおかしいのだが、数年前は一応信じていた。

昔、平凡社の世界大百科事典 (検索してみて記憶にある巻ごとの項目名範囲と一致するのは1964年版だ) のオリーブ油の項には、圧搾装置に入れられただけで自重により果実が潰れて流れ出してきた果汁から採った油がバージンオイルと言われると書かれていた。今は熱を加えず他の媒体も使わず圧搾抽出されたもので成分上のある制約に触れないものがエキストラバージンオイルとされている。全て署名記事だった平凡社のその記述が嘘だったとは思えないので、主にメーカーの利益が目的で数十年の間に定義が変えられたのではないかと疑っている。このことでオリーブオイルソムリエと自称する人達のブログ他で質問してみたが答えはなかった。

マーク・トウェインの「ミシシッピ河上の生活」には彼が船上で聞いた話として、南部では19世紀半ばまでは無価値で、木綿の植付けと飼料と肥料に使う以外の大部分はただ川に捨てられていた、繊維を取ったあとの綿実を絞って得た綿実油にある成分を加えてオリーブオイルに香りを似せ、容器に詰めてイタリアに送りそこで印刷したオリーブオイルのラベルを貼って逆輸入して儲けている男が出てくる。そんなペテンに加担するような連中だもの、製品規格のグレードをインフレさせ実際の品質は逆に落とすくらいやっていて不思議はない。

今でも調理にごま油とオリーブオイルは使うが、後者は酸化しにくい二重構造の容器で売られる製品を買い、瓶詰めは買っていない。植物油の使用もできれば最小限にした方がいいようだ。

追記: トム・ミューラー著「エキストラバージンの嘘と真実」によれば「エキストラ」付きの規格ができたのは1960年だそうだから、事典の発行より四年早い。別に矛盾はないけど。定義と変更は遠心分離による分離が導入されたためかもしれない。