2016/07/21

「豆柴」

日本の都会の住宅事情では犬は同じ犬種でも体格の小さいほど求める人が多く、従って高く売れる。だから人気のある犬種を繁殖する金儲け主義のブリーダーはまた、少しでも小さい犬を作ろうとする。そのため東京では柴犬に限らず、多少とも人気のある犬種では標準よりかなり小さい個体が増えている。

いや、犬種標準に合致しない犬を作って売るからといって金儲け主義とは限らない。良い家庭犬や猟・競技その他の用途の犬の供給を目標とするブリーダーもあるから。しかしまず金儲け主義が多いとみていいと思う。「豆柴」の作出では歴史のあるブリーダーが二軒あり、それらの系統のものなら成犬になったらでかくなったということはないと思うが、露店で売る「大きくならないミニうさぎ」同様のものを売るところがとても多い。

いずれにしろラブやゴールデンやコリーやジャーマンシェパードならまだしも元々小さい犬種でさらに小さい個体を作ろうとすることには無理がある。全体のバランスが崩れるほか、手っ取り早く小さくするために無茶な交配をしたり、別犬種を混ぜているのか気性も違うのを時に見かける。

今飼っている柴犬は雌だし、雌としての標準よりも小さめなのでよく「豆柴ですか」と聞かれる。「豆柴」呼ばわりするからには普通の柴犬はもっと大きいと思っているかもしれない。概して脚が長く大柄な柴系雑種と柴犬を混同しているのかもしれない。しかし前に飼っていた雌の柴犬は体重が14kg以上あったが、それでもまだ「豆柴ですか」という仁がいた。馬鹿ですか?

数年前までは「豆柴ですか」という問いに対しては「そういう犬種はありません」と確答できた。しかし JKC から仲間割れした連中が作った団体が「豆柴」の登録と血統書の発行を始めてしまった。どうしてもその団体(NPO 法人日本社会福祉愛犬協会、NPO が聞いて笑わせら)の名を憶えられないのだが、略称を KCJ と称し、仲間うちや登録犬の飼い主の間では KC と呼ばせている。KC とはイギリスの元祖ケネルクラブのことで、ろくでもない金儲け主義の団体が名乗っていい名前じゃない (JKC だってたくさんあった団体の一つに過ぎなかったのが、いち早く FCI とアフィリエイトして対外的に日本を代表する犬種登録団体みたいな顔をしているだけ) 。

公益社団法人日本犬保存会では元々その団体の登録犬に保存会での予備登録を許していたが、彼らの「豆柴」登録開始の直後の会誌でそれを取消し、絶縁した。「保存会」なのだからそんなものを許容できないのは当たり前だ。

よくよく言っておきますが、むやみに他人の犬を指して「豆柴ですか」と聞くのは、他人の腕時計を指して「どこの露店で買ったか」とか言うに等しい。気分を損ねたくなければやめてください。

「豆柴」についての日本犬保存会の見解 (秋田犬の下)

日本社会福祉愛犬協会に関するyahoo!知恵袋のページ

同上

2016/07/03

猫嫌い

母が猫嫌いだったから子供の頃に猫に間近に接したことがない。大学時代以降猫にふれる機会は時々あったが、好きにはなれない。

街猫は何といって家畜としても野生動物としても半端な存在で、ほとんどの個体は結局人間に依存し切っている癖にいうことは聞かず (人の言葉を色々憶えるだけの知能もないらしいが) 、都合の良い時だけすり寄ってくるからだ。自分で飼っている柴犬もプリミティブな犬種で様々な犬種の中では人間への精神的依存が少なく、したがって中々いうことを聞かず、清潔好きなこともあって猫っぽい犬だが。

石井桃子作「山のトムさん」には、戦後間もない当時に農家で害獣除けに飼われていた猫たちが痩せて目をギラギラさせて畑で鼠などを見張っていたことが描かれている。そういう猫たちは飼い主たちにとりほとんど必須の存在で、与えられた餌以上の仕事を果たしていた。そういう猫たちは今も田舎では仕事をしている。鼠から収穫物や家畜の飼料を守っている。英語圏では farm cat とか barn cat とか呼ばれる。

うちの犬は猫を一緒に遊べる相手とみなしていたが、相手はそうは思ってくれない。若犬時代何度も家から脱走したが、行くところは近所の餌やりをしている家と決まっていた。連れ帰って明るい場所で見ると頬に浅い傷を受けていることが二回ばかりあった。そんなこんなで成猫は恐れるようになった。こけ脅しに猫が1m突進してみせると悲鳴をあげて3m逃げる。

以前は庭に面した軒下に折り畳み式の大きなケージを置いて不在中や忙しい時は犬をそこに入れていた。そうしたとき猫は警戒して庭はさっさと通り過ぎるし、犬も平静にそれを見送っていた。しかしガラス戸の内側に犬がいるときは猫どもは無害安全とみなして図々しく振る舞い、犬も頭にきて追っ払おうとガラスに体当りを繰り返したりする。近所迷惑だが幾ら叱っても呼んでも聞かないので、最近はそうしたとき門扉の閉鎖を確認してから外に出すようにした。すると猛然と猫を追い回し、猫はみな命懸けで逃げる。捕まえたことはないが、殺しても心は全く痛まないだろう。入ってきた方が悪いんだから。

公園などで自分一人の刹那的快楽だけのために餌やりをして野良猫を無意味に増やす人たちは許せない。犬が誤食する気遣いさえなければトレーなどに放置してある猫餌に不凍液を注いで回りたいぐらい。

散歩中に猫を見つけて喜んでいる犬 (ちょっと緊張)
喜ばれている猫